エレンタール(と少しラコール)のこと
クローン病とは切っても切れない栄養剤。
レミケード以降の第3世代(私の造語です)にあっては、それ以前と比べれば影響力は落ちたものの、まだお世話になっている人の方が多いのではないでしょうか。私もその1人です。
経腸栄養剤って何ですか
このブログをご覧いただく方には今さらだと思いますが。。
クローン病では腸に強い炎症が起きるため、患者は消化吸収力が低下するとともに、通常の食事を取ること自体が悪化の原因になります。
そこで登場するのが経腸栄養剤です。
経腸栄養剤にもいろいろ種類があって、流動食に近い(=刺激が強い)順に、エンシュアリキッド→ラコール→エレンタールとあります。
ほかにもありますが、今日、クローン病で処方されるのは、ほぼエレンタールかラコールでしょう。
我らがエレンタール
最近はラコールを第一選択にする医師もいるようですが、クローン病界不動の一位、味の素が誇る至高の経腸栄養剤、それがエレンタールです。
・ほとんど消化を必要とせず、特に腸管に刺激の強い脂質が、ごく少量しか含まれていないため、クローン病でも安全に高カロリーを摂取できる
・アミノ酸等の栄養素がバランスよく含まれており、炎症の抑制が期待できる
要するに、安全に栄養が摂れるだけでなく、症状自体を抑えてくれる優れものというわけですね。
1日3~4パック(900~1200kcal)を継続して摂ることで、症状が改善されるといわれていますが、実感としては、3パックと4パックではけっこう違います。
どうやって摂るか
エレンタールの問題は「味」「匂い」とされています。
味の素さんの商品改良で、昔に比べればよほどマシになったのですが、まあ、普通の人には馴染みのない味と匂いであることは否定できません。
各種フレーバーやジュースで割って、何とかごまかすことになるのですが、私はいわゆる鼻注派です。
「鼻注」とは、鼻から胃までチューブを入れて、ポンプで少しずつエレンタールを落としていく方法ですが、私がいた病院では、クローン病の診断確定後、まずこの鼻注指導を受けました。
当時(1999年)は、レミケードもなくエレンタール全盛だったので、当然のように鼻注が選択されていたのだと思います。
今は、鼻注をそもそも知らない(医師から提示されていない)人や、鼻注を習得したいのに医師が非協力的で、大変苦労されている人もいるとか。
患者が鼻注への抵抗からエレンタール自体を拒否するリスクだけでなく、指導コスト、ポンプの管理コストといった、大人の事情が含まれているように思えてなりませんが、どうなんでしょうか。
飲み方
このように鼻注派の私も、「旅行のときに便利だから」といった理由で、エレンタールを飲んでみたことは何回かあります。
フレーバーも、コンソメ以外は全部試しました。
参考までに、フレーバーで良いと思うのは、パインアップル、グレープフルーツ、ヨーグルト、さっぱり梅、このあたりです。フレーバー以外なら、100%グレープフルーツジュースで調合するのがいいと思います。
グレープフルーツジュース割りに関しては、ドンさんのブログ「Livin` on a クローン」の過去記事が非常に参考になります。下のにほんブログ村のバナーから行けますので、ご興味の方はぜひ。
このブログをご覧の方で、上記ブログを知らない人がいるのか?は疑問ではありますが。。
やっぱり鼻注が楽
何度か試してはみたものの、エレンタールを飲むと、なぜかすごくだるくなる上に、それだけでお腹いっぱいになり、1日3パックも飲むとご飯も入らなくなってしまうという事象に悩まされました。
たぶん、個人的に相性が合わなかったのでしょう。
それで、結局は鼻注が一番ということで、飲むのはやめてしまいました。
鼻注なら、寝ている間に摂取が完了し、食欲にも影響しません。エレンタール鼻注4パックにご飯2食で、あっという間に太ります。
今回の手術後、はじめて旅行に鼻注キットを持参しましたが、意外といけました。
私は、エレンタールをさぼった日の翌日がずっとだるくなるという禁断症状があるので、旅行にもエレンタールがあるに越したことはないのです。
ラコールは?
エレンタールが飲めないならラコールを飲めばいいじゃない、という向きもあるかもしれません。
ラコールは、脂質が含まれているものの、クローン病に比較的優しい脂質であり、エレンタールよりずっと味が良いとされています。
ところが、これまた相性ですが、脂質云々ではなく、私はラコールに鉄臭いような薬臭いような後味を感じてしまい、飲むエレンタール以上に合いませんでした。
ストローで飲んでも、飲んだ後にガムを噛んだり舌を磨いたりしても、一向に解消されないのです。
エレンタールは身体の一部です
ということで、一応いろいろやった栄養剤は、鼻注エレンタール一択となりました。
かれこれ20年近くエレンタールを(途中さぼったこともありましたが)続けてきて、私の身体は4割くらいがエレンタールなんじゃないでしょうか。
将来、IBDが完治する時代が来たら、エレンタールはクローン病に用いられなくなるはずですが、いまいちエレンタールのない生活が想像できません。
というわけで、みなさんも、栄養剤がIBDの保険適応でなくなるその日まで、良きエレンタール(ラコール)ライフをお過ごしください。